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カテーテル療法に熱意 福井県済生会病院 宮山士朗さん

医人伝

(2018年1月16日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

福井県済生会病院(福井市) 放射線科主任部長 宮山士朗さん(58) 

画像肝がんの治療法「TACE」について説明する宮山士朗さん

 患者の太ももの付け根からカテーテルを挿入し、肝がんにつながる動脈に薬剤を注入してがんを壊死(えし)させるTACE(肝動脈化学塞栓(そくせん)療法)。手術など他の治療法と比べて患者に負担がかからないため、器具の進歩とともに近年見直されている。放射線科医として30年ほどTACEに携わり、現場の医師の立場から器具の開発にも関わっている。

 石川県輪島市出身。1986年に鳥取大医学部を卒業後、金沢大付属病院の放射線科に入局。同病院がTACEに熱心だった影響で、自分も関心を抱くようになった。壁にぶつかったのは、94年に福井県済生会病院で放射線科の医長になった時。上の立場になって患者全員の画像を見るようになると、がん再発の多さに気付かされた。

 カテーテルが思った場所まで届かなかったり、がんにつながる動脈ではなかったりしたため、がんを壊死させられなかったのが原因だった。「良いことをしているつもりだったのに、うまくいっていないと気付き、すごく悲しかった」

 悩み抜いて出した結論が、器具の性能を上げること。メーカーに呼び掛け、従来より0.2ミリ細い0.58ミリのカテーテルが2002年に完成した。その後初めての治療が今でも忘れられない。血管をカテーテルが滑らかに進み、薬剤の流れも良くなった。「今までと全く違った」。当時治療した患者の中には、今も元気に生活している人もいる。「自分が考えたことが正しかった」と感じることができた。

 薬剤を注入するために血管の画像をモニターに映し出す撮影装置の改良にも協力。かつては平面的にしか映せなかった血管の画像が、14年からは立体や断層画像も同時に確認できるようになり、薬剤を注入する血管を見つけやすくなった。これらの取り組みによって「治療した部位での再発は減った」と話す。

 自分のことを「すぐに傷つき、くよくよする性格」と分析する。だからこそ「再発が多いと気付いた時、こんなものだと割り切らず、改善策を考えることにつながった」と振り返る。

 「肝がんは再発しやすいため、頻繁にTACEを受ける患者さんは多い。達人技がないとできないのではなく、数年の経験があれば、どんな医師でもできる治療法にしてきたい」。治療の普及に、静かな熱意を燃やしている。(片岡典子)

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