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急激な温度変化で血圧が上昇

(2018年1月30日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

日常動作引き金 年代問わず注意を

日常生活に潜む温度差リスク

 寒さが1年で最も厳しい時期を迎えている。急激な温度変化は血圧を上昇させ、脳卒中や心疾患を引き起こすことも。入浴時の影響は「ヒートショック」として知られるようになったが、暖房の効いた部屋から屋外へ出るなど、日常生活のちょっとした動作にもリスクは潜むといい、注意が必要だ。(小中寿美)

 ベランダでの洗濯物干しやごみ捨て、郵便受けの確認を部屋着のまま行うことはないだろうか。カジュアル衣料品の「ユニクロ」(本社・山口県)は昨秋、健康な30代の男女を対象に、環境の変化により血圧がどう変動するかを測定した。先の場面を想定した実験で、男性が24度の部屋から5度の部屋へ移動。最高血圧の数値はいっきに「17」上がった。

 監修した国際医療福祉大大学院の前田真治教授(63)によると、「15」前後の上昇は、速めのジョギングをいきなり始めた時と同等の数値。運動ならよいが、温度変化で上昇するのが問題という。脳卒中の専門医でもある前田さんは「同じことを繰り返していると、脳卒中や、心筋梗塞につながる不整脈を起こす可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 暖房の効いていない部屋へ移動する、満員電車で上着を脱ぎ、そのままホームに降りる、といった動作を想定した実験では、上昇値は男女とも「10〜14」程度に。繰り返せば、動悸(どうき)や軽い頭痛などにつながるという。

 温度変化でなぜ血圧が上昇するのか。人は一定の体温でしか生きられず、36〜37度に保とうとする働きがある。冷たい空気や物に触れると、皮膚に近い毛細血管が熱を奪われまいとして収縮する。冷えた脱衣所から熱めの湯につかったときも同じ現象が起きる。圧力が急に高まって、出血を起こしたり、心臓に負担がかかったりする。

年代で違う血圧上昇

 血管が老化すれば、リスクはさらに高まる。30代で「17」でも、高齢者が同じ動作をした場合は「40くらいは跳ね上がる。100メートル走のスタートダッシュと同等の上昇」と前田さん。過去に行った実験が世代による差を示している。20度前後の居間から10度未満の脱衣所へ移動し、服を脱いで測定したところ、20歳、40歳、50歳の各グループの平均値は大きく開いた=グラフ。

 厚生労働省の統計では、心疾患と、脳卒中をはじめとする脳血管疾患の死亡者数は毎年冬に増えており、急な温度差が影響しているとみられる。前田さんが診察した患者の中にも、70代の男性が入浴後に部屋着のままビールを取りに屋外に出たところ、脳梗塞を引き起こし、重度のまひが残ったケースもあった。

 一方、若い世代でも「生活習慣の乱れから肝臓の病気になるなどして、年齢以上に血管が老化している人は多い」と指摘する。温度変化による血圧上昇には、年代を問わず気を付けた方がよさそうだ。

 具体的にはわずかな時間の外出でも上着を着る。温度を感じるセンサーは皮膚にあり、1カ所でも冷やすと血圧は上がるため、靴下をはくなど足元にも気を付ける。起床時は活動の始まりに備えて血圧が少しずつ高くなり、急な上昇を招きやすいため、布団から出る前に部屋を暖めるとよい。

 「汗冷え」も要注意。暖かい部屋で家事をした後、トイレや風呂など寒い所に移って掃除する、との想定の実験では、血圧の上昇が4分続いて「18」まで上がった。冬場は空気が乾燥し、汗が蒸発して体が冷えやすいため、血圧上昇に拍車がかかったとみられる。汗をかいたら拭き取るのはもちろん、速乾性のある服を選ぶことも対策になる。

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