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摂食障害克服 文通のおかげ 高校生の時 柿木教諭 滋賀大・淀水さん

(2018年2月12日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

「先生みたいに」春から教壇

画像かつて交わした文通を読み返す淀水さん(右)と柿木教諭=県立三雲養護学校で

 滋賀大教育学部4年の淀水晴菜さん(22)が、4月から県内の特別支援学校の教壇に立つ。淀水さんはかつて、摂食障害に苦しみ、一人の教師との出会いをきっかけに病気を克服し、自身も教職を志した。「先生のように子どもたちの力になりたい」。春からの学校生活に期待を膨らませる。 (浅井弘美)

 淀水さんは、4人きょうだいの長女。末っ子に重度の心身障害のある弟がおり、母親が弟のケアに追われる中、幼いころから、2人の妹たちの面倒を見ながら勉強に励んだ。

 高校へ進学後、急に授業についていくのが難しいと感じるようになった。ストレスを親に打ち明けられず、「やせたい」という気持ちも重なり、食事がのどを通らなくなった。高2になると、体重は中学時代より15キロも減少。体調に異変を感じるようになり、母親の勧めで病院を受診すると、摂食障害と診断。一時入院することになった。

 そんなとき、心配してくれたのが、弟の担任だった県立三雲養護学校の柿木伸子教諭(53)だった。時折、母親と一緒に弟を迎えに行くと、声を掛けてくれた先生だった。入院先にもお見舞いに駆けつけ「勇気を出して、入院できたね」といたわってくれた。

 退院後、母親を介して柿木教諭に手紙を出した。学校のこと、教師の仕事、日々の生活など、聞きたいことや感じたことを、便せん3枚にぎっしりしたためた。

 柿木教諭も応じた。「物心がついたときから、家で甘えられず、無意識に我慢してきたのではないか。全部思いを吐き出してほしい」。手紙にはそんな思いが込められた。文通は往復6回に及んだ。

 「先生に話すと気持ちが楽になった」という淀水さん。体調は次第に回復し、柿木教諭にあこがれ、教師を目指して滋賀大へ進んだ。昨年の教員採用試験では、柿木教諭から「教育に携わりたい熱い思いを訴えればいい。自信を持って」とメールで励まされ、面接に臨んだ。

 特別支援学校の教諭を選んだのは、弟が通うからだけではない。「障害のある人もない人も一緒に暮らせる社会が理想。先生として障害のある人に関わりながら、こうした社会に近づけられたら」との夢があった。

 「柿木先生のような生徒の気持ちを引き出せる人になりたい」と淀水さん。柿木教諭は「どん底からはい上がり、しんどかったと思う。努力し続けてきたことが実を結び、彼女の頑張りに元気をもらった」とたたえ「ちょっとでも力になれて良かった。子どもの気持ちに寄り添える人になってほしい」とエールを送る。

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