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知っていますか? 肝炎のこと ~40人に1人が感染していると推定されています~
 現在、日本では年間3万人以上の方が肝臓がんで亡くなっていますが、その原因の85%を占めるのが、B型肝炎とC型肝炎です。いずれも適切な時期に治療を受けることで肝臓がんの発症を抑えることが可能ですが、進行するまで自覚症状がないため治療の機会を逃してしまう方が多いのが問題になっています。
 世界保健機関(WHO)は7月28日を世界肝炎デーに制定していますが、日本でも同日を「日本肝炎デー」と定め、肝炎に関する正しい知識の普及啓発に取り組むこととしています。そこで「日本肝炎デー」にちなみ、愛知県で肝疾患治療の中心的役割を果たす「肝疾患診療連携拠点病院」の責任者の皆様に、肝炎の現状と医療機関の取り組みを語っていただきました。ウイルス性肝炎による肝臓がんは、数あるがんの中でも撲滅が可能です。この機会に理解を深め、肝臓がんから命を守るすべを身につけましょう。

座談会出席者(順不同)
後藤 秀実氏 名古屋大学大学院医学系研究科 消火器内科学 教授〈座長〉
吉岡健太郎氏 藤田保健衛生大学 肝胆膵内科 教授
米田 政志氏 愛知医科大学医学部 内科学講座(消化器内科)教授
田中 靖人氏 名古屋市立大学大学院医学研究科 ウイルス学分野(肝疾患センター)教授
石上 雅敏氏 名古屋大学大学院医学系研究科 消火器内科学 助教
〈座長〉名古屋大学大学院医学系研究科 消火器内科学 教授 後藤 秀実氏 藤田保健衛生大学 肝胆膵内科 教授 吉岡健太郎氏 愛知医科大学医学部 内科学講座(消化器内科)教授 米田 政志氏 名古屋市立大学大学院医学研究科 ウイルス学分野(肝疾患センター)教授 田中 靖人氏 名古屋大学大学院医学系研究科 消火器内科学 助教 石上 雅敏氏

ウイルス性肝炎とは

後藤 はじめに肝臓がんの主な原因となる「ウイルス性肝炎」とはどのような病気か、一般の方にもわかりやすくご説明ください。
石上 ウイルス性肝炎にはA型~E型までありますが、現在、肝臓がんの約15%はB型肝炎、約70%はC型肝炎によるものです。B型とC型の肝炎ウイルスは感染すると肝細胞を破壊し続ける「慢性肝炎」に高率に進行し、慢性肝炎を放置すれば20~30年という長い年月を経て知らぬ間に肝硬変や肝臓がんを発症するリスクが高まります。

感染の原因と症状は

後藤 何が原因で感染するのか、感染するとどうなるのですか。
米田 B型肝炎ウイルスは人の血液や体液を介して感染しますが、多くは出産時に母親から感染した母子感染によるもので、ワクチン接種による感染防止策がとられてからはほとんどなくなりました。ほかには医療行為や予防接種時の注射器の使い回しによる感染がありますが、これも衛生管理が徹底された近年はほとんどありません。
 血液を介して感染するC型肝炎も、感染者の多くは輸血や血液製剤が原因とされていますが、安全対策がとられるようになってからはほとんどなくなりました。
 全国で肝炎ウイルスのキャリア(保有者)は、B型が110~140万人、C型が190~230万人と推計されていますが、ほとんどが適切な対策がとられる前の感染です。
後藤 新たな感染はほとんど起きていないということですか?
米田 現在問題になっているのは、ウイルスで汚染された器具によるタトゥーやピアスなどの施術、性交渉による感染です。特にB型肝炎について、今まで成人してからの感染は一過性の急性肝炎を経て治癒し、ウイルスは排除できるとされていました。しかし、近年は成人してからの感染でもウイルスが排除できず慢性化してしまう欧米タイプのウイルスが増えており、深刻なリスクとしてクローズアップされています。
 一方、C型肝炎は肝臓がんに占める割合の高さが示すように、B型肝炎よりはるかに多い約70%の感染者が慢性肝炎へと移行することがわかっています。

肝がんの原因

後藤 まずは肝炎ウイルスに感染しているかどうか検査をすることが第一だと思いますが、現状はどうなのでしょう。
田中 B型については、母子感染防止事業が開始された昭和61年以前に出生した人、C型については献血時の検査が開始された平成4年以前に出生した人を感染リスクのある人と捉えています。これに基づいて確認したところ、愛知県内で感染リスクのある人は約600万人になり、まだ多数の方が検査を受けていないのが現状です。

保健所で無料の検査

後藤 平成19年からは保健所で無料の肝炎ウイルス検査が受けられるようになりましたが、その成果はいかがですか。
田中 残念ながら思ったほど増えていないのが現状です。感染リスクの高い方に検査の大切さを認識してもらうためにも、一層の啓発活動の重要性を感じています。同様に検査を受けて陽性とわかっても、そのまま放置してしまう方が多いのも大きな問題となっています。
後藤 陽性でも放置してしまうというのは、どのような理由が考えられますか。
田中 肝臓は「沈黙の臓器」とよくいわれるように、自覚症状がほとんどないまま深刻な状態へと進行してしまいます。そのため感染がわかっても、特に不調がないから大丈夫だと自己判断してしまう方が多いのではないでしょうか。何十年も放置して肝硬変や肝臓がんを発症するまで受診しない方も少なくありません。
後藤 感染がわかった後の受診が重要である理由をご説明ください。
田中 ウイルス検査で陽性が出たからといって必ずしも治療が必要になるわけではありません。専門病院で詳しい検査を受け、肝臓の状態を正しく把握してはじめて治療が必要なのか、必要な場合はどんな治療が最適なのかがわかるのです。
 肝臓の状態は血液検査のデータに基づき肝機能やウイルスの量を調べ、画像検査も加えて総合的に診断しますが、いずれも患者さんに身体的な負担を強いる検査ではありません。感染がわかったら何よりまず専門病院を受診してほしいと思います。
吉岡 厚生労働省の研究の一環で、陽性が出た方にその後の受診結果をアンケート調査したのですが、慢性肝炎だけでなくすでに肝硬変、肝臓がんと診断された方が少なからずいることがわかり、陽性後の受診の重要性を裏付ける結果となりました。

相談は専門医へ

後藤 詳細な検査はどこで受けられるのですか?
吉岡 愛知県では名古屋大学医学部附属病院をはじめ、名古屋市立大学病院、愛知医科大学病院、藤田保健衛生大学病院の4大学病院が「肝疾患診療連携拠点病院」に定められ、約200カ所の「肝疾患専門医療機関」と連携しています。愛知県のホームページを見てもらえば、身近な専門医のいる病院を確認することができ、我々拠点病院にご連絡いただけば、ご案内することも可能です。

対策推進計画を策定

後藤 「肝疾患診療連携拠点病院」を中心とした愛知県の肝炎対策について教えてください。
石上 愛知県では、平成25年3月に「肝炎対策推進計画」を策定しています。この計画では、「肝炎を早期発見し、安心して治療ができるあいちの実現」を基本目標として、計画を推進するための三本柱を掲げています。①正しい知識の普及啓発と受検の促進②検査から治療への適切な移行③適切な肝炎医療の提供です。我々「肝疾患診療連携拠点病院」では、この3つの柱に基づく取り組みを展開しています。
 ①については、肝炎に関する正しい知識の普及啓発を行い、感染リスクの高い方への保健所や医療機関での無料検査をはじめ、40歳以上の方を対象とした自治体の健診受検の勧奨、②については、検査後の、陽性者に対する専門医療機関への受診勧奨です。③については、受診した結果、症状に応じて軽い方はかかりつけ医に、治療が必要な方は肝疾患専門病院へと病診連携による役割分担を行うことです。また、肝疾患診療連携拠点病院の肝疾患相談室では、安心して治療を受けるための患者支援として、インターフェロン治療を受ける方に医療費助成制度があることをご案内しています。現在、B型肝炎の抗ウイルス薬にも医療費助成が実現されています。
 B型、C型ともウイルス肝炎治療は飛躍的な進歩を遂げており、適切な時期に行うことで肝硬変、肝臓がんへの進行を食い止めることも可能です。しかし、従来は費用が高額であったために治療の継続をためらう方も少なくありませんでした。医療費助成制度をご案内することで、安心して治療を受けてもらえる環境を整えたいと思います。
後藤 今後の取り組みについてもご紹介ください。
吉岡 「日本肝炎デー」などを活用した、広く一般の方への啓発活動に取り組むことはもちろんですが、タトゥーやピアス、性交渉による感染の増加が問題となっている現状を踏まえると、今後は若年層に特化した啓発活動が重要となります。学生向けのパンフレットを作成したり、教育現場での啓発機会の創出に取り組んでいきたいと思います。

早めの受診が重要

田中 感染予防のための啓発活動と同時に、感染がわかった方への受診勧奨も大きな課題です。受診をお勧めしても半分ぐらいの方が受診されません。中には日常の忙しさにかまけて受診しない勤労者も多いので、産業医と連携した受診勧奨にも取り組んでいきたいと思います。
米田 我々「肝疾患診療連携拠点病院」では「肝疾患相談室」を開設し、医療費助成のこと、日常生活の注意点、治療についてなど、肝炎患者さんやご家族のさまざまな不安や相談にお応えできる体制を整えています。
 また、肝臓の専門医となると数が限られてしまいますので、消化器内科の先生などにも参加いただく講習会や研修会を開催し、最新の医療情報を提供しています。
吉岡 肝炎は一生付き合っていく病気ですから、メンタル面でのサポートも欠かせません。当院では患者さんやご家族向けの「肝臓病教室」を開催していますが、合わせてグループワークの時間を設け、患者、ご家族の交流の場として好評を得ています。秋には地域での出張教室も実施する予定です。
後藤 肝炎対策の現状と課題、そして今後の取り組みについてお話をお聴きしましたが、愛知県では「肝疾患診療連携拠点病院」を軸にした医療体制も整備されており、昨年には啓発の機会となる「日本肝炎デー」も制定されるなど肝炎対策の充実、加速を確信することができました。一方で陽性者の受診勧奨などの課題も浮き彫りとなり、さらなる取り組みに期待したいと思います。
 一般の皆さまには、行政および医療従事者のこのような取り組みを知っていただき、まだ一度も肝炎ウイルス検査を受けたことのない方は、最寄りの保健所や医療機関へ、陽性が判明したが自覚症状がないから大丈夫と自己判断されている方は、一刻も早く専門医のもとで詳しい検査を受けていただきたいと思います。

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