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中日新聞 広告局 企画・特集

進化し続ける内視鏡 診断から治療まで
名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に聞く
 9月7日(土)・8日(日)、東海エリアの医療・健康に関する総合展「中日健康フェア2013」が開催されます。当日は最新の健康情報を提供する講演会やセミナーを多数予定しており、一般の方が健康について楽しく学ぶことのできる機会となります。これに先立ち、当日のメーン講演を担当いただく名古屋大学・消化器内科学の後藤秀実教授に、講演テーマである「内視鏡」についてお話をお聞きしました。

正確な診断こそ適切な治療 内視鏡手術は患者の負担軽減

名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授

死亡率減少に貢献

―今回の〝健康フェア〟では、『内視鏡による診断・治療の現状と未来』というタイトルで後藤先生に講演いただくわけですが、一般の方も「内視鏡」については〝胃カメラ〟でなじみが深いのではないでしょうか。
後藤 1950年代に日本で初めて完成した内視鏡は、胃の中を撮影するためにできた、まさに〝胃カメラ〟です。今ではそれが食道から胃、小腸、大腸まで上部・下部の全消化管に対応できるものとなり、内部をリアルタイムに観察しながら撮影できます。

―おかげでがんの早期発見にも貢献していると聞きます。
後藤 胃がん、大腸がんは日本人に多いがんですが、内視鏡検査による早期発見・早期治療が増えたことで、死亡率減少に大きく貢献しています。近年増加傾向にある食道がんも、初期はほとんど自覚症状がありませんが、定期検診で上部内視鏡検査を受けることによって早期の段階で見つけられるケースが増えてきました。

―講演のテーマにもある、内視鏡による「診断」についてはいかがでしょう。
後藤 定期検診などで腫瘍が疑われる結果が出た場合、精密検査を通して本当に腫瘍なのか、そうであればどの程度進行しているか、場合によっては組織を採取して「確定診断」をします。正確な診断ができて初めて適切な治療ができるわけですが、内視鏡はここでも活躍します。

高性能化し機能充実

―「確定診断」に使われる内視鏡には、どのようなものがあるのですか。
後藤 最新の高性能な内視鏡としてあげられるのが、ズーム機能を搭載した「拡大内視鏡」です。通常の数十倍~100倍の倍率で拡大画像を得ることができるので、従来見つけにくかったタイプのがんも把握しやすくなりました。
 またハイビジョン技術が導入され画質も鮮明です。さらに最近は粘膜の表面を照らす光の波長を変えることで、粘膜の毛細血管や深いところの血管を強調して映し出せる「画像強調機能」を搭載した内視鏡も登場しました。これにより通常の光ではわかりにくかった腫瘍の領域が、ボタンひとつの操作で明確にわかります。

―確定診断のためには、がんの領域以外にどんなことを調べるのですか。
後藤 たとえば腫瘍がどこまで深く進行しているか、あるいは腫瘍近くのリンパ節に腫瘍が転移しているか否かを確認するのに用いるのが「超音波内視鏡」です。これもかなり高性能化しています。
 さらに今まで検査が難しかったすい臓、胆道など深部の臓器の観察が可能になっただけでなく、組織を採取する「穿刺(せんし)吸引細胞診」までできるようになりました。これにより、組織が採取できないために、手術が適用できるかどうか判断が難しかった症例にも、正確な診断ができるようになりました。

開腹せずに治療できる

―内視鏡で観察するだけでなく、細胞診までできるのですか?
後藤 細胞診はもちろん、治療までできるのが現在の「内視鏡」です。近年「低侵襲治療」として浸透している「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と「内視鏡的粘膜剥離術(ESD)」がそれです。特にESDは広範囲な病変を一括で切除でき、胃だけでなく食道や大腸の腫瘍にも応用されるようになりました。内視鏡手術は術者の高度な技術が求められる反面、開腹することなく治療できることから、患者さんは術後の後遺症で悩まされることもなく生活の質を保つことができます。

「カプセル内視鏡」登場

―今後「内視鏡」はどこまで進化し続けるのでしょう。
後藤 現在、検診で使用される上部内視鏡や下部内視鏡も、昔に比べれば口径が細くなり、鎮静剤の使用などで患者さんの負担が軽減できるようになりましたが、それでもある程度の負担はかかってきます。
 そんな中登場したのが「カプセル内視鏡」です。これはカメラを内蔵した小さなカプセルを患者さんが飲み込むと、自然に消化管内部を移動しながら撮影をし、画像を体外に送信するというものです。
 今まで胃と大腸の間にある「小腸」は、自覚症状があっても検査が困難なために異常を特定することが難しかったのですが、「カプセル内視鏡」により患者さんに負担のない検査が可能となりました。異常が分かった場合も「バルーン内視鏡」というものを用いることで、小腸の組織の採取、腫瘍の診断、さらにはポリープの切除、閉塞部分の拡張などさまざまな治療ができます。かつて「暗黒の臓器」といわれた小腸の疾患治療は、内視鏡なしではあり得ないといえます。

―今後も進化する内視鏡によって、がんの早期発見・早期診断・早期治療が進んでいくことが期待できますね。
後藤 内視鏡に限らず、これからもより高度で多彩な機能を搭載した医療機器の登場により、患者さんの負担が少ない検査・診断・治療が可能になると思います。今や国民病といわれるほど増加の一途をたどるがんですが、早期発見・早期診断・早期治療を通して、治る時代へと確実に歩を進めていることを実感しています。

<企画・制作>中日新聞広告局