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中日新聞 広告局 企画・特集

患者さんに負担の少ない内視鏡検査・治療
名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に聞く
 9月6日(土)・7日(日)、名古屋スパイラルタワーズにおいて「中日健康フェア2014」が開催されます。当日は医療・健康に関する多彩な講座を予定しており、最新の情報や正しい知識を得る絶好の機会となります。これに先立ち、特別講座の講師である名古屋大学 消化器内科学・後藤秀実教授に、テーマとなる「内視鏡検査・治療」についてお話をお聴きしました。

中日健康フェア2014特別講座

名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授

がんの早期発見に貢献する内視鏡検査

 ―「内視鏡」といえば、「胃」と「大腸」の検査が一般に知られています。
 後藤 胃と大腸はもちろんですが、小腸を含んだ全消化管の検査ができるのが現在の内視鏡検査です。上部内視鏡検査では咽頭、食道から胃、十二指腸の膵管、胆管につながる乳頭部まで、また、下部内視鏡検査では肛門から直腸、大腸全体、それに回腸末端部までをリアルタイムに観察しながら病変を発見し、撮影・生検(細胞の採取)・治療をします。
 日本人に多い胃がん、大腸がんは、早期に発見すれば完治する可能性が高いのですが、早期のがんでは特定の自覚症状がありませんので、定期的な内視鏡検査ががんの早期発見に最も有効な手段です。

 ―診断や治療の分野でも内視鏡が活躍しているそうですね。
 後藤 適切な治療のためには正確な診断が必要ですが、通常の数十倍~百倍に拡大して観察できる「拡大内視鏡」や、ハイビジョン技術が導入された「高画質内視鏡」の導入により、正確な診断ができるようになっています。
 さらに「画像強調機能」という技術を搭載した内視鏡は、通常の内視鏡と異なる波長の光を粘膜に当てることで、がんの病変がより明確に識別できるようにしました。以前の検査のように、患部に色素を散布する必要もなく、ボタンひとつで光の切り替えができるので検査時間も短縮でき、患者さんの負担も少なくなっています。
 一方、がんがどこまで深く浸潤しているかを知ることも治療にとって重要ですが、この検査には組織の内部を観察できる「超音波内視鏡(EUS)」が有用です。EUSで、早期の粘膜内がんと診断された病変には、内視鏡治療が広く適用されるようになりました。近年普及してきた「ESD(内視鏡的粘膜剥離術)」は大腸がんにも用いられ、深い浸潤がなければ4㌢程度に広がった大腸がんでも、開腹しないで内視鏡で一括切除できるようになりました。

難治性がんの診断・治療にも高まる期待

 ―合併症のリスクを減らし、生活の質を保ちながら治せる内視鏡治療は大きな福音です。
 後藤 このEUSは、従来の内視鏡では観察が難しかった膵臓、胆のう、胆道の精密検査も可能にしております。特に、組織の細胞を採取する「穿刺(せんし)吸引細胞診(EUS―FNA)」もできるため、病理診断に基づく病変の正確な診断や手術適応の判断にも役立っています。

 ―膵臓がんや胆道がんは難治性と聞いていますが、今後の治療に期待が持てますね。
 後藤 特に消化器のがんの中で最も予後の悪い(死亡する確率の高い)膵臓がんに対し、このEUSを用いた新たな治療法の研究開発にも取り組んでおります。また、胆道がんは手術しか方法がありませんが、膵管・胆管につながる乳頭部の早期のがんに対しては内視鏡治療を行っております。

保険適用が広がるカプセル内視鏡

 ―今年の1月には大腸の「カプセル内視鏡」が保険適用となりましたが、これはどのようなものですか。
 後藤 直径1センチ、幅3センチ程度のカメラを内蔵したカプセルを患者さんに飲み込んでもらい、カプセルが消化管を移動する間に内部を撮影して、体外に画像データを送信するという内視鏡です。
 大腸に先立つ2007年には、小腸用のカプセル内視鏡が保険適用となっています。胃と大腸の間にある小腸は口からも肛門からも遠いため、検査が困難で異常を特定するのが難しい臓器でしたが、カプセル内視鏡が登場したことで患者さんに負担のない検査が可能となりました。
 カプセル内視鏡で異常がわかった場合は「バルーン内視鏡」を用いて精密検査をします。これは小さな病変を見つけるのに長けているうえ、組織も採取でき、さらに止血やポリープの切除などの治療もできます。

 ―大腸のカプセル内視鏡はいかがですか。
 後藤 大腸内視鏡検査同様、下剤を服用して腸内をきれいにする前処置が必要となりますが、大腸カプセル内視鏡の場合は、よりきれいな観察のため、徹底した前処置が必要となり、患者さんにとってはそれが負担となります。
 また、大量に送信される画像から病変を見つける読影の技術を磨く必要もあり、幅広く活用するためにはもう少し時間をかけて準備したいと思っております。
 小腸の場合も何百という事例を通して適切な使用につなげてきましたので、大腸についても種々の情報を集め、より適切な大腸カプセル内視鏡の使用法の開発に取り組んでいくつもりです。

 ―最先端の医療機器を臨床の場で適切に運用するためには、準備も必要ということですね。
 後藤 今回の講座でも、今述べたような最先端の内視鏡について紹介することで、その有用性を知っていただく機会になればと思います。
 とかく敬遠されがちな内視鏡検査も、苦痛の少ない「経鼻内視鏡」の普及で、患者さんの負担を軽減できるようになりました。大腸についてもカプセル内視鏡だけでなく、「CTコロノスコピー」というCT検査で得られた画像をコンピューター処理し、内視鏡と同様の画像を構築できる負担の少ない検査法が登場しています。

このような情報を通してがん検診についても関心を高めていただき、がんの早期発見・早期治療につながることを願っております。

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