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中日新聞 広告局 企画・特集

世界に広がる、日本式の内視鏡診断・治療
名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に聞く
 9月3日(土)4日(日)、名古屋医専 総合校舎スパイラルタワーズにおいて、「中日健康フェア2016」が開催されます。当日は医療・健康に関する多彩な講座を予定しており、最新の情報や正しい知識を得る絶好の機会となります。これに先立ち、名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に、当日の特別講座の内容についてお聞きしました。

中日健康フェア2016特別講座

名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授

最新の内視鏡技術で 治療も医療も進化

 ―医療の現場で内視鏡は、検査だけでなく診断から治療まで欠かせない存在になっていますね。

 胃はもちろん食道、十二指腸、大腸、胆管など、人体内部のあらゆる”管”を直接目で診ることができるのが「内視鏡」の最大の特長です。一般に知られている胃カメラや大腸内視鏡検査は、がんをはじめ胃腸の病気の早期発見に役立っていますが、内視鏡の役割は検査だけではありません。
 画像を数十倍~百倍に拡大できたり、鮮明なハイビジョン画像が得られる内視鏡をはじめ、光デジタルによる画像強調という技術を用いた内視鏡では、通常わからない血管や粘膜、極小のがんまで詳細に観察できます。粘膜の下や膵臓、胆のう、胆道など体の奥の方にある臓器を観察し、組織を採取できる超音波内視鏡も普及しています。おかげで正確な診断のもと適切な治療計画が立てられるわけです。
 さらに、胃や食道、大腸にできたがんを切除できる内視鏡手術が普及し、治療における患者さんの身体的負担も軽減しています。

 ―最近は「カプセル内視鏡」も登場しましたね。

 「カプセル内視鏡」とは、超小型カメラを内臓したカプセルが、消化管を通過しながら画像を撮影して外部の装置に転送するもので、現在、大腸と小腸の検査で保険適用となっています。
 小腸は口からも肛門からも遠いため、十分に観察できる検査方法がなかったのですが、「ダブルバルーン小腸内視鏡」という特殊な内視鏡が開発され、小腸の検査と組織の採取が可能になりました。加えて体に負担の少ないカプセル内視鏡ができたことで、今まで原因不明だった消化管の出血について、小腸が原因の場合は特定できる可能性が高まっています。

健康な人の腸内細菌で 病気を治す最新治療

 ―近年、大腸の病気の最新治療として「糞便移植」が話題になっていますが、これも内視鏡に関係していますか。

 「糞便移植」とは健康な人の便を処理し、内視鏡で患者さんの腸内に注入するものです。内視鏡治療というより、薬を用いないため副作用がない点が注目されています。
 腸内には三万種もの腸内細菌が、種類ごとにまとまりすみ着いています。花畑にたとえられるこの「腸内フローラ」が、生命活動に欠かせない代謝機能や免疫機構に深く関わっているとされ、欧米では腸内細菌の解析が一大プロジェクトに進展しています。その成果として、腸内細菌の中には肥満や糖尿病に関係する種類もあることがわかってきました。糞便移植とは正確には便の中に含まれる健康な人の腸内細菌を移植することで、病気の原因と思われる乱れた腸内フローラを改善するための治療です。

 ―どんな病気が「糞便移植」の対象になるのですか?

 現在、効果が明らかに証明されたのは「偽膜性大腸炎」で、名古屋大学でも2人の患者さんが糞便移植により治癒されています。偽膜性大腸炎とは手術などで抗生物質を大量に投与した際に起こる腸炎で、アメリカでは年間3万人もの人が亡くなっている病気です。広く知られたものではありませんが、糞便移植が治療として確立されれば、ほかの病気の治療にも適用できます。実際に原因不明の難病である「潰瘍性大腸炎」を、糞便移植で治療する試みも進んでおり、今後の進展に期待したいと思います。

恵まれた環境を生かし 健康維持の心がけを

 ―今までお話いただいた最先端の医療が受けられる私たちは、本当に幸せですね。

 確かに日本の医療が受けられる皆さんは恵まれていますね。私は2012年にスタートしたASEAN諸国への医療支援プロジェクトを通して、医師や看護師を派遣したり、名古屋大学に呼んだりして、内視鏡医の育成に取り組んできました。日本の内視鏡医数が人口10万人当たり約13.2人なのに対して、経済成長著しいベトナムでさえ約0.5人です。ミャンマーやラオスに至っては絶対数が10~20人という状況。日本であれば助かる命が失われてしまうのが現実です。ベトナムを皮切りに始まったプロジェクトは、ミャンマー、タイ、ラオス、そして今年はカンボジアへと着実に取り組みを広げており、今後も継続していくことが私の使命だと痛感しています。
 日本の皆さんには、世界最高水準の医療が誰でも平等に受けられる環境であることを知ってほしいと思います。そして、技術の進歩により身体的な負担も減ってきた胃カメラなどの内視鏡検診を定期的に受けることで、がんの早期発見・早期治療につなげてほしいと思います。

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