つなごう医療 中日メディカルサイト

中日新聞 広告局 企画・特集

消化器のがんの予防から最新の内視鏡診断・治療まで
名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に聞く
 9月2日(土)3日(日)、名古屋医専 総合校舎スパイラルタワーズにおいて、「中日健康フェア2017」が開催されます。当日は医療・健康に関する多彩な講座を予定しており、最新の情報や正しい知識を得る好機となります。これに先立ち、オープニング講座の講師である名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授に、当日の講座内容についてお聞きしました。

中日健康フェア 2017 特別講座

名古屋大学 消化器内科学 後藤秀実教授

増える消化器がんと食生活の関係

 ―国民の2人に1人が「がん」になるといわれる時代ですが、がんを取り巻く状況をお聞かせください。

 後藤 かつて日本人のがんは、罹患(りかん)も死亡も「胃がん」がトップでしたが、現在は「肺がん」と「大腸がん」が目立って増えており、死亡者数も胃がんを抜いて男性が肺がん、女性が大腸がんになりました。

 欧米人には少ない胃がんが日本人に多いのは、塩分の過剰摂取が影響していると考えられ、現在、大腸がんが急増しているのも、食生活が欧米型に変化してきたことによるものと思われます。絶対数は少ないながらも急増している「すい臓がん」は、糖尿病の人に発症リスクが高いとされ、その糖尿病もまた食事の欧米化により増えてきた病気です。このように消化器系のがんの増加には、食生活が大きく関係していることが分かります。

 ―がんと腸内環境にも関係があると聞きます。

 後藤 腸内には3万種類もの腸内細菌が種類ごとにまとまってすみつき、花畑に例えられ「腸内フローラ」と呼ばれています。これが生命活動に欠かせない代謝機能や免疫機構に深く関わっているとされ、腸内細菌の中には肥満や糖尿病に関係する種類もあることが分かっています。メカニズムの詳細はまだ研究途上ですが、乱れた腸内フローラが病気をもたらすことは明らかです。

 そこで腸内環境を整えるために良いとされるのが、乳酸菌やビフィズス菌などが含まれる食品や飲料です。最近、外科手術後の患者さんに乳酸菌飲料を毎日飲んでもらって、手術後の合併症が減ったという結果が数多く報告されています。今後さらに研究が進めば、そのメカニズムも明らかになっていくことでしょう。

早期発見・早期治療でがんは治る時代へ

 ―胃がん、大腸がんはかかる人が多い一方で、早期発見・早期治療により命を守ることができると聞きます。

 後藤 胃がんについていえば、かかる人の数は増加していますが、完治する人が増えてきたため、死亡率は減少傾向にあります。これこそ早期発見・早期治療の成果といえるでしょう。

 胃がん検診には「バリウム検査」と「内視鏡検査(胃カメラ)」があります。健康診断で一般的なバリウム検査は、胃の全体の輪郭や動きを確認して凹凸の病変を見つけるもので、内視鏡検査は胃の内部の粘膜の異常を見つけることができます。いずれも胃がんによる死亡率を減少させる効果があると科学的に証明されていますが、特徴が異なり一長一短ですので、できれば双方を組み合わせて受けるのが良いといえます。

 また、胃がん同様、大腸がんも早期発見であれば完治が目指せるがんです。しかし、自覚症状に乏しいためかなり進行してから見つかることが多く、それが死亡率増加の原因となっています。大腸がんは「便潜血検査」を受けることで死亡率の低下が明らかになっており、検査も簡単なものです。毎年受け、要検査となった場合は、必ず内視鏡検査を受けましょう。

 ―医療機器の進化も著しいそうですね。

 後藤 「内視鏡」は胃や大腸の内部を直接診ることができますが、小さく発見しづらい病変もあります。近年は画像を拡大できたり、画像強調という技術により、通常では分からない血管や粘膜の異常を捉えることができるようになりました。これにより見逃しを防止し、正確な診断のもと適切な治療へとつなげることができます。

 治療においても、早期であれば開腹しないで病変を切り取ることのできる内視鏡手術が選択できます。内視鏡手術は身体的負担が軽減でき、術後の合併症のリスクも減少するため、QOLの維持に貢献しています。

ベトナム保健省のキムティエン大臣(右)よりベトナムの医療に貢献した功績をたたえメダルと感謝状の授与式が行われた

医療先進国という環境を生かそう

 ―先生はASEAN諸国への国際医療貢献活動にも、積極的に取り組んでおられますね。

 後藤 2012年に開始した医療支援プロジェクトも今年で5年目となりました。その間、支援国もベトナムからミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアへと広がり、難しい内視鏡手術ができる医師も育成できるようになりました。また、医師だけでなく看護師の育成も成果を上げています。国際支援は支援する側が上から目線では成立しません。いつか私たちも協力を仰ぐ時が来るのだから、今できることを精一杯させていただくという気持ちで取り組んでいます。

 日本ではがん検診の受診率が驚くほど低く、世界最高水準の医療技術があるにもかかわらず、早期発見ができないばかりに大切な命を失う方が後を絶ちません。日本の皆さんには優れた医療を受けられる恵まれた環境を知ってもらい、がん検診の受診を心掛けてほしいと思います。

<企画・制作>中日新聞広告局