つなごう医療 中日メディカルサイト

中日新聞 広告局 企画・特集

 全国に100万人ほどいるとされるてんかん患者さんですが、圧倒的な専門医の不足により生活や治療への悩みを抱え続けている方も少なくありません。中日新聞では4月28日、29日の両日、名古屋市内の「ウインクあいち」で「てんかん」をテーマに健康セミナーを開催。28日には専門医による個別相談会、29日には「てんかん治療の最前線」をテーマに市民公開講座を実施し、てんかん患者さんのサポートと市民への理解を深める機会としました。

「発作部位」の把握を

てんかんの診断・脳波と症状

 てんかんの発作は、脳の一部分に起こる部分発作と脳全体で起こる全般発作に大きく分かれ、適切な治療のためには発作が脳のどこで起きているか正しく診断しなければなりません。
 そのための方法が脳波検査です。通常の脳波計が19個の電極しかないのに対して、2009年から256個の電極がある「高密度脳波計」を使用し発作部位の正確な特定に役立てています。
 また、脳波と発作時の様子をビデオで記録する「ビデオ脳波モニタリング」を行うことで、発作型に応じた特徴的な症状が確認でき、正確な診断につながります。
 てんかんの治療は薬物療法に始まりますが、治療ガイドラインでは2、3種類の薬を使用しても発作が2年以上治まらない難治性てんかんの場合は手術を検討するとあります。特に子どもの患者さんは2年を待たず積極的に検討するとあり、私の患者さんにも発病から数カ月で外科治療を受け改善した方が何人もいます。
 このように子どもさんにはできるだけ早いタイミングで薬物療法か外科治療かの検討をすることが大切であり、そのためには正確な診断が重要であることを知っていただきたいと思います。

難治性なら効果優れ

手術で治す・てんかんの外科治療

 日本のてんかん患者さんは人口の1、2%とされており、これによれば東海地方の患者さんは15万~30万人と推計されます。そのうち70~80%の方は薬物療法で発作をコントロールできますが、約30%の方は薬物療法では効果が期待できない薬物抵抗性(難治性)の患者さんです。しかし、このうち約20%にあたる1万人前後は、手術により発作をコントロールもしくは完全になくせる可能性があります。しかし、現在てんかんの手術は全国でも年間600件程度しか行われておらず、その背景には専門医の圧倒的不足があります。またてんかんを手術で治せることを知らない患者さんや、手術に危険なイメージを抱いている患者さんも少なくありません。
 難治に経過するとIQ低下や認知障害、長期薬物使用による肝臓障害などの副作用があり、発作による転落死・溺死(てんかん患者さんの突然死SUDEP)などの危険率は発作がない人の5~8倍にも上ります。これに対してEngelらの報告によると手術の死亡率は0.4%、後遺症が永久的に出る確率は3%と極めて低く、外科治療が安全で有効な選択肢です。2年間2剤以上の薬を使っても発作が治まらない難治性の患者さんは、手術による治療を検討してみる必要があります。

長所と短所よく理解

治療の基本・てんかんの薬物治療

 てんかん治療の基本は薬物療法ですが、発作を抑制することはできても、てんかんを根治することはできません。しかし発作がなくなることで生活の質は格段に向上し、数年で薬を止められる場合もあります。特に学齢期のお子さんにとっては、学校生活に支障が出ないことが大きな意味を持つといえるでしょう。
 一方、抗てんかん薬は長期の服用が基本となるため、副作用による不調や小児の場合は発達に影響をおよぼすこともあります。メリットだけでなく薬物療法のデメリットも理解したうえで治療を続けていただきたいと思います。また、睡眠不足、疲労、薬の飲み忘れなどは発作を誘発する要因として要注意です。特に小児の場合は修学旅行などの学校行事でこれらの要因が重なり発作を起こすケースが多々見られますので、家庭での生活指導も治療の一環として重要といえるでしょう。
 最近は副作用の少ない抗てんかん薬など新しい薬が続々と認可されており、これらを組み合わせて服用することで、従来の薬物療法で発作がなくならなかった方にも効果が期待できるようになりました。
 てんかん患者さんとご家族はよく主治医と相談しながら、納得できる治療を受けていただきたいと思います。  

安全な第3の選択肢

新しい治療法・迷走神経刺激療法

 薬物療法でも発作が止まらない方や薬の副作用でQOLが著しく損なわれている方、外科手術が適用できない方の第3の治療の選択肢となるのが「迷走神経刺激療法(VNS)」です。これは電気刺激を発生させるジェネレーターを胸部に埋め込み、頚部(けいぶ)にある迷走神経に電気刺激を与えることで発作を減少させるもので、欧米では5万人を超える患者さんが治療を受けています。
 手術は1時間半程度で3~5日の入院が必要となり、術後はまれに声がかすれることがありますがやがて回復します。発作回数が減るなど効果が出るまでには個人差があり、早い方で3、4カ月、長い方だと1年後というケースもあります。また、発作の状況に応じて電気刺激の強度や頻度を調整するための通院と、ジェネレーターの電池交換手術は通常6、7年ごとに必要です。費用面では保険が適用され高額療養費の対象となるため、10万円程度の自己負担となるケースが多いようです。
 VNSは小児から成人まで適用できる安全性が確立された治療であり、発作が完全になくなることはまれですが、発作の減少とともに集中力、記憶機能、言語機能の改善が期待できます。他に治療手段がないと悩まれている方は、新たな選択肢としてご相談ください。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人