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第166回

チャイルド・ライフ・スペシャリスト

2014年11月28日

 先週紹介した長野県の心臓病の中学生・山田倫太郎君(13)からお手紙をいただきました。
 入院中の子たちのために、倫太郎君が心臓カテーテルの検査の絵本を作った話題(11月18日付け)は、学校でも大きな話題になり、図書館の司書の先生は感激して廊下に張り出してくれたそうです。
 手紙には、記事のお礼とともに「僕が取材の時に一番うれしかった事は、安藤さんがCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)を知っていた事です」とつづられていました。
 今までクラスの友達に聞いても、だれもCLSのことを知らず、寂しい思いをしていたそうです。
記事では、長野県立こども病院のCLS・塩崎暁子さん(29)が絵本の資料集めなどをして手伝ってくれたことを紹介。塩崎さんのコメントも添えました。
「倫太郎君は私たちが体験していないことを知っている。それを言葉にしてだれかに伝えるのはとても難しいし、勇気のいること。小さい子たちへの彼のやさしさが生んだ作品です」
CLSが「子どもたちの味方」であることを感じさせるコメントです。

国内では25病院だけ

 CLSとは、主に小児科病棟の子どもや家族への支援を提供する専門職です。子どもたちの話し相手、遊び相手になったり、つらい検査や治療に立ち会ったりして心の負担を軽減し、主体的に医療に参加できるように応援します。医師、看護師らとのカンファレンスにも、子どもの代弁者として参加します。
 アメリカでは小児科医療に不可欠な存在として認知されていますが、日本では専門教育機関がありません。このため、資格を取るにはアメリカのチャイルド・ライフ学科・コースのある大学・大学院で学んだうえで認定試験を受ける必要があります。
 現在、日本国内ではCLSが働いている病院はまだ25カ所。一般には、まだまだ認知度は広がっていませんが、私たちにはなじみの職種です。

 日本人初のCLS藤井あけみさんが、1990年代に名古屋市の名古屋第一赤十字病院で勤務しており、中日新聞でも連載を書いていただいていました。
 小児がん医療の分野で高い評価を得ている名古屋大学付属病院でも、7年前からCLSの佐々木美和さんが活躍しています。入院している子の「きょうだい会」を設け、日ごろ寂しい思いをしているきょうだいたちの心を癒やしたり、小児病棟の中で居場所を見つけにくい中高生たちの会を作ったり。終末期のケアチームでも重要な役割を果たしています。
 9月に、重い腎臓がんの高校生・伊藤義希さん(17)が大村秀章・愛知県知事に院内学級の高等部の設置を求める手紙を出した話題を紹介しましたが、この伊藤さんの心を支えているのも佐々木さんです。
 小児科准教授の高橋義行さんは「佐々木さんが来てから、チーム医療がうまく回り出した気がします。いろんな専門職が『佐々木さんが言うなら』と一目置いている感じです」と言います。
 これから、どんどん発展していってほしい仕事です。

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執筆

安藤 明夫

編集委員

生きがい、生活習慣病予防、心の健康・・・医療記者としての取材体験を自分自身の「これから」に重ねて、つづっていきます。